友人と共同でJUNK BAR「GO FLAT」を経営する池原さんは、那覇の専門学校を卒業したあと、地元の大きな総合病院で事務職として働いた。
当時の宜野湾には、朝まで開いている居酒屋がなく、遊びに行くのは那覇がほとんどだった。那覇のバーや夜遊びする店を見て、地元にもあったら便利だと思った。自分たちの感性でモノを置いたり、好きな音楽を流したりできたら、面白い店ができるはずだと、友人同士でよく話し合っていた。
病院で4年働いて退職すると、すぐに店を始めようと思った。しかし、ずっと沖縄にいたので、一度県外を見てみようと思った。県外勤務の仕事を探し、静岡にあるパナソニックの携帯電話の工場へ働きに出た。
沖縄でバイクの免許を取り、工場で稼いだお金でバイクを買って、期間が満了したら本土を見て回ろうと考えていた。工場には全国各地から大勢の人が働きに来ており、いろいろな地域の人たちと知り合うことができた。
工場での勤務期間が満了すると、知り合った人たちを訪ねて全国各地を回り始めた。バイクで静岡から関西を通り、鳴門海峡から四国へ渡った。四国に入ると、香川県から愛媛→高知→徳島を回った。次に瀬戸大橋から本州へ戻ると、日本三大砂丘のひとつである鳥取砂丘を見に、日本海側へ走った。そのあと山口県を回り、長野方面に向かった。

知り合いの家に泊めてもらったり、公園で野宿をしたりしながら、池原さんのバイクでの旅は約3ヶ月続いた。土地のおいしいものを食べ、温泉に入り、工場でともに働いた同僚との再会を楽しみながら、長野から新潟→横浜→東京→栃木→仙台→岩手を回った。
3月からスタートしたバイクの旅は約3ヶ月続いた。ゴールデンウィークに入ると行楽の車が多くなり、道が混み始めた。それで、大阪からフェリーで沖縄に戻ってきた。
沖縄へ戻ってくると、浦添のカクテルバーで1年間の経験を積んだ。いよいよ自分の店をオープンしたくなってきた。開店資金を貯めるため、店を共同で経営する友人と一緒に、岐阜にある三菱自動車の工場へ働きに出た。きつい仕事だったが、店を出す資金を貯める目標があったので、1年間の期間を乗り切ることができた。
期間を満了して目標の資金を貯めた池原さんは、沖縄に帰ってくるとすぐに自分たちの店をオープンする準備にとりかかった。イメージを固めるため、いろいろなバーを見て回った。その中で雰囲気をしっかり持ったところは強いなと思った。店に入った瞬間、落ちつくだけでなく、はっきりしたテーマがある店には客をひきつけるパワーがあった。
流行情報に敏感な美容師の友人の意見も聞きながら、店のコンセプトを固めていった。木のあたたかみを生かしつつ、流行りそうな原色の中で攻撃的な赤を選び、内装のイメージを決めた。店に入った瞬間のインパクトを大切にして、さらに自分たちが学生の頃に流行っていたおもちゃや好きな音楽をちりばめていった。友人と共同で図面を書いて考えながら、自分たちや友人の助けを借りて店全体を手作りしていった。試行錯誤しながら、約3ヶ月かけて店の形を作り上げた。
弟同士が同級生であったスプレーアーティストの外間信太郎さんにお願いして、入口の壁面に迫力ある巨大な昇り龍の絵を描いてもらった。最初は看板も店の名前すらもなく、昇り龍の絵だけで店をスタートした。
開店当初は料理やドリンクの品数も少ない状態だった。それでも、身近な人達の応援もあって、スタートをきることができた。
それが、今から3年前。2004年8月のことだった。

「GO FLAT」は今年の8月にオープン3周年を迎えた。国道330号からよく目立つ、スプレーアートの昇り龍は、地域の名物として認知されている。「GO FLAT」は、タイヤがパンクする状態を表現した言葉だ。
県外の工場で資金を貯め、友人と共同で店を立ち上げた池原さんに、仕事を探す若い人へのアドバイスを聞いた。
「自分もそうでしたが、アルバイトは時給があって、決められた時間に言われたことをすればお金を稼ぐことができます。でも、ただそれだけでなく、せっかく自分の時間を削っているわけですから、他人と関わるよい機会なので、自分の中で意識をもって仕事に取り組めば、自分にもプラスになります。意識の違いで人の輪も広がります。意識の違いだけで、その時間が貴重なものになると思います」
休みの日はリフレッシュするために、気分転換で学生時代から続けているサッカーを社会人チームで楽しんでいる池原さん。店が終わるのは4時から5時で、大会の時には朝から試合があり、寝ないで会場へ駆けつけることもある。
30代を迎え、今後は2号店・3号店も視野に入れ、自らにプレッシャーをかけていきたいと語る。
パンクロックメインの選曲で音楽が楽しめ、もちろんリクエストもOKの「GO FLAT」。プロジェクターでDVDを観ることができ、大画面を利用したサッカーゲーム大会イベントも開催されている。
最大で50名まで収容でき、大型スクリーンの映像やダーツが楽しめる。真っ赤な壁に古いレコード、びっくりするほどたくさんのおもちゃが飾られた宝箱のようなジャンクバーだ。
まもなく年末を迎え、忘年会に模合に貸切パーティーなどにぴったり。ぜひ一度、宜野湾の「GO FLAT」へ足を運んでみよう。