
PROFILE
きんじょうよしひこ。1975年生まれ、辺野古出身。
宜野座高校卒業後、スポーツトレーナーを目指して上京。
その後、22歳で万座ビーチホテルの和食部門に就職し、5年間の修業を積む。名護市内の居酒屋で勤務したあと、2004年に宜野座村で「炭焼家てんぷす」をオープン。
氷河の中心から汲みあげたような、キリリと冷えて、黄金色に透き通った極上のビール。
宜野座にある炭焼家「てんぷす」は、県内で6店しかない、キリン生ビールを最高のコンディションで提供できる「満点生の店」に認定されている。
赤く燃え上がる備長炭で焼き上げた、やんばる島豚あぐー。
宜野座の特産品であるじゃが芋を練り込んだじゃが麺。
そして、宜野座産の有機野菜を使った創作料理の数々。
こだわり抜いた地元の食材が、繊細な和食の技で、今宵の宴を彩る料理となる。
▼一流ホテルの和食部門で 厳しい修業を積む
沖縄の方言で「へそ、中心」を意味する「てんぷす」。阪神タイガースのキャンプ地として知られる宜野座村は、沖縄本島のほぼ中央に位置する、人口が約5千4百人の村だ。
ここの海が見えるペンション村で、居酒屋を経営する金城さんは、野球の名門・宜野座高校のOBだ。
高校を卒業すると、スポーツトレーナーを目指して、東京へ働きに出た。しかし、半年で沖縄へ戻り、地元で再チャレンジすることにした。
医療法人に就職するための専門学校へ通い、3年間チャレンジを続けたが、倍率が高く、試験に合格できなかった。
叔父さんが、有名な寿司店の板前で「料理の仕事をやってみないか」と、ずっと誘われていた。
3年目で試験に落ちた時、向いていないかもしれないと考え、叔父さんへ就職の相談に行った。
叔父さんは、万座ビーチホテルにある和食の「雲海」を紹介してくれた。
一流リゾートとして歴史を持つ万座ビーチホテルの中でも、「雲海」は1、2を争う看板店舗だ。
寿司カウンターから鉄板焼カウンター、海が見える広いテーブル席に、大広間まであり、総勢25名以上の料理人が働いていた。
まったくの未経験で料理の世界へ飛び込んだ金城さんは、追い回しと呼ばれる雑用から始まり、板場、煮方、焼き場、揚場、前菜を盛り付ける八寸場と、各部署で経験を積んだ。
様々な一流の食材を見て、たくさんの技法を学んだ。それでも包丁をイメージ通りに使えるようになるまで、3年の歳月が必要だった。
▼店のコンセプトを固めるため全国食べ歩きの旅へ
ホテルで5年間の経験を積み、最後は寿司カウンターを担当した。自分の店のオープンを目指す金城さんは、5年を機にホテルを退職した。
店のコンセプトを固めるため、2ヶ月かけて全国食べ歩きの旅に出た。
知人の家に泊まり、仙台から東京を経由して、京都・大阪・神戸など、各地の名物や有名店を食べ歩いた。
その中で、京都の料理店のスタイルが一番印象に残った。京都ならではの、地元のものを強く打ち出すスタイルに共感できた。独特の空間造りも勉強になった。
そして鳥取にも行き、日本海の魚を食べて、本土の魚の美味しさも知った。
さらに、佐賀県出身の奥様の実家をたずねると、飲食店オーナーが多い奥様の知人から、様々な助言をもらった。
食べ歩きの旅を終えた金城さんは、さらに勉強したいことがあった。
一流ホテルで経験を積んだが、町の居酒屋で働いたことがなかった。
ホテルは観光客を相手に、厨房の中の作業がメインだった。
地元客と世間話をしながら、気持ち良く寛いでもらう世界を学びたかった。
名護市内で人気の居酒屋で職を見つけると、そこでも経験を積んだ。
万全の準備を整え、いよいよ「てんぷす」の店作りにとりかかった。
しかし、内外装を作る職人さんの都合で、半年ほど工事がストップしてしまった。
「でも、この期間にメニューや店のイメージ作りを、徹底的に打ち合わせることができたのが良かったです」と、金城さんは振り返る。
のちに、地元の食材を使ったキリンの料理コンテストで、県内144店の中から5店が選ばれる最終審査にまで入賞した。
▼ただあなたの喜ぶ笑顔がみたくて・・・
炭焼家「てんぷす」は、今年5月にオープンから4周年を迎えた。
外階段を上がって、石灰岩が敷き詰められたアプローチを渡り、2階の奥まった場所にある玄関を入る。
木のドアの向こうに、静かなジャズが流れ、モノトーンで落ち着いた空間が広がる。
美しいセンダンの一枚板のカウンターの向こう側に、くもりひとつなく磨きぬかれた、清潔なステンレスの厨房が見える。
「地産地消。宜野座村の食材をもっと食べてみよう!」金城さんが、オープンした時から徹底してこだわる、店のコンセプトだ。
近所の畑で農業を営む高校の先輩から、みずみずしい有機野菜を仕入れる。
近くの松田漁港から船を出す海人から、水揚げしたばかりの新鮮な魚を仕入れる。
宜野座名物のじゃが麺を使ったサラダは、麺を湯通したあと、氷水で冷やすことにより、ピチピチした、生きているような食感となる。
料理の味をひきたてるビールにも徹底してこだわり、サーバーの洗浄と温度管理と樽詰生の鮮度に、細心の注意をはらう。
「将来的には、東京にも店を出すことを目標にしています。沖縄へ帰る時、向こうの社長からとても厳しいことを言われました。
でも、そのおかげで奮起することができました」と、金城さんは感謝の気持ちを込めて語る。
料理とお酒を楽しんだあと、宿泊して寛げるささやかなペンションスペースも準備中だ。
8月10日(日)16時から、ペンション村(サンパーク)のビーチで、気心知れた地元4店舗が合同で、島んちゅバーベキューフェスティバルも開催する。
すべてはお客様の笑顔のために、金城さんは動き続ける。

▼このお仕事を目指す人たちへ
「お客様に喜んでいただくためには、まず人が好きなことが一番でしょう。
楽しいことが大好きで、それをお客様と共有してください。あとは夢を持つこと。
どんな仕事にもきついことがたくさんあります。そこで妥協すると、目標を達成できません。夢を持つことが大切だと思います」
Information
炭焼家てんぷす
住/宜野座村宜野座663-49
℡/098-968-5808
営/18:30~24:00
休/月曜と月1回不定休
じゃが麺サラダ690円
ミミガー入りオリジナルつくね450円




