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06年12月06日号
前泊美紀さん前泊美紀さん
OCNキャスター
前泊美紀さん
【プロフィール】1972年生まれの『復帰っ子』。
那覇市出身。琉球大学法文学部法政学科卒業。
琉球大学大学院修士課程修了。2001年9月沖縄ケーブルネットワークに入社。
現在、『沖縄News Today(水・木・金)』のキャスターを務める。
『「法曹界」から「放送界」へ転身。
社会にもおもしろい場所があることを知りました。』
「実は、人前で話すことが苦手なんです。そんな私がカメラの前に立ってニュースを読むなんて、以前の私では信じられません」と話すのは、『法曹界』から『放送界』へと転身を遂げた前泊美紀さん。現在は、沖縄ケーブルネットワークの社員としてカメラの前に立ち、『沖縄News Today(水・木・金)』で沖縄の今を伝えている。
「人前で話すことが苦手」との言葉は、にわかに冗談としか聞こえなかった。というのも前泊さんのまっすぐな目線があまりにも印象的だから。そのことを告げると、「友人や知人からも信じられないと言われます(笑)。中学生のときには生徒会長を務めたこともあり社交的に見られがちなんですが、本当の私は外見にコンプレックスを持つ憶病者なんですよ」と首をすくめる。そんな前泊さんがカメラの前に立つほどの強さを身につけるまでには、いくつかのターニングポイントがあったという。
高校生の頃、憧れていた社会科の先生の気を引くために、社会科の勉強に力を入れ学年トップになったことがあった。これをきっかけに社会科に興味を持ち、図書館で六法全書を読みふけるようになり、琉球大学の法文学部へと進学した。学部では就職に有利な民法を勉強する学生が多い中、心理学や哲学に興味を持っていた前泊さんは、「人間の限界を知りたい」と刑法を学んだ。
「人間の本質は何だろう。周りに左右されず仮面をつけず生きていけるのだろうかということに興味を持っていたこともあり、刑法を選んだのだと思います。また憲法を勉強していくうちに現代にそぐわない条文が多くあることを知り、もっと勉強したいと大学院への進学を決めました」
同級生が就職していく中、「社会に出たら汚れてしまう」「いつまでも無菌の状態でいたい」と思っていた前泊さんは、まだこのとき社会に出る自信がなかったという。大学院に進んでからは、学費を稼ぐために専門学校の非常勤講師や新聞社の受付け、ホテルでの皿洗いなど、さまざまなアルバイトを掛け持ちしたこともあった。
修士課程を修了したとき博士課程を取るために県外の大学院への進学も考えたが、父親の定年退職と重なり、経済的にも甘えていられないと就職することにした。
 前泊美紀さんときは就職氷河期。しかも年齢は二十八歳。専門学校の講師、マスコミなどに履歴書を送るものの面接に呼ばれることはほとんどなく、年齢制限のハードルに阻まれた。専門学校では民法を教える講師を必要としており、刑法を学んできた前泊さんにとって不利だった。職種にこだわっている場合ではなかった。「この際、何でもやろう」とふっきれた瞬間、履歴書を送っていた(株)沖縄ケーブルネットワーク(以下OCN)から面接の連絡が入った。面接ではさまざまな質問を受けたが、はじめて自分の話に耳を傾けてくれた会社としてプラスに受け取れたという。
「広告営業の募集でしたが、面接では放送原稿は書けるか、キャスターもできるかなどいろいろな質問も受けました。面接を受けたあとは、この会社に落されても悔いはないと思えるほど、気分はすっきりとしていました」
「縁を感じた」というOCNから採用の通知が届き、2001年9月13日に入社が決まった。初登社日は、9・11同時多発テロの直後。ひっくり返るほどの忙しさの中、翌日には記者に同行。現場から戻るとすぐに「ニュース原稿を書きなさい」と有無を言わさない指示。やるしかなかった。さらに一カ月後には、カメラを持っての取材を経験。機械に弱く、どんな映像を撮ればいいのか分からず、とにかくRECと書かれた録画用のボタンを押すしかなかった。
「カメラを持ちながらインタビューしたんですが、重くてずるずると下がるカメラをインタビューされる側が支えてくれたり、今では笑い話になるような失敗も経験しました。うちの放送部は崖から突き落として人を育てるところでした(苦笑)。そして誰よりも多く突き落とされたのが私かも。でもそのおかげで強くなりましたけど」と笑う前泊さん。
 入社したばかりの頃は、見知らぬ人にマイクを向けると断られるのではと怖かったが、今では「取材先に断られるとゾクゾクする」というほどの記者魂も身についた。大学在籍中は、社会の怖さばかりに目がいっていたが、「社会にもおもしろい場所がある」と思えるようになった前泊さん。そんな居場所を探すために、今日もマイクを手に外へと飛び出していくのだった。
ターニングストーリー
1989年 16歳 憧れの社会科の先生の気を引くために猛勉強。法律へと目を向けるきかっけとなる
1992年 19歳 琉球大学法文学部入学。刑法を専攻し学ぶ
1996年 23歳 社会に出る自信がなかった頃。もっと学びたいと大学院へと進む
1997年 25歳 失恋。突然「別れよう」を宣告され、理由も分からず苦しく、半ばやけになる
1995年 26歳 失恋をきっかけに走るようになり、NAHAマラソンで完走。自信と体力をつけ、人生が180度変わる。失恋した彼に「よくぞふってくれた」と感謝する
1998年 28歳 修士課程を修了。就職活動を始めるが年齢制限というハードルに阻まれる
2001年 28歳 職種にこだわらず就職活動の幅を広げようとふっきれた瞬間、OCNに就職が決まる。「与えられたことは何でもやろう」と決意する
2001年 30歳 外見にコンプレックスを持ちながら、キャスターとしてカメラの前に立つ
2003年 34歳 カメラの前で笑うことにも慣れ、取材先に断られるほど意欲が湧くという強さを身につける
前泊美紀さんより転職を考えている方へ
「年齢制限や職種など就職活動には紆余曲折ありましたが、発想の転換が大切だと思いました。就職活動に難航していたとき、何でもやろうとふっきれた瞬間、道が開けました。就職をした今は、可能な範囲でやれることは何でもやろうという気持ちで仕事に取り組んでいますが、広告営業で入社し、さまざま業務を経験しながら、今は希望していた記者の仕事もこなすようになりました。就職には雇う側と雇われる側の『縁』があると思います。採用されないときには『縁がなかった』と思うことも必要。相性のいい会社に巡り会うまでは苦しいかもしれませんが、前向きな姿勢で就職活動を行うことは大切だと思います。」
お仕事紹介
ケーブルテレビだからこそできる、「小さくても大切なニュースを取り上げる」をモットーに取材を行っている前泊さん。沖縄ケーブルネットワークの看板であるニュース番組『沖縄News Today(午後8時から午後8時25分)』のキャスター(水・木・金)を務め、法律に長けた独自の視点からニュースを伝えています。キャスターの他にも音声やテロッパーなどもこなし、番組では株価を取り上げるために、自らミニ株にトライするなど実践派。取材では相手から「真の言葉」を引き出すためにどのような質問を投げるかを心がけているといいます。
沖縄ケーブルネットワーク株式会社
■沖縄ケーブルネットワーク株式会社
那覇市久茂地1-2-20
098-863-0077
URL/www.nirai.ne.jp/

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