
こども音育ひろば リトモ 代表 上間咲子さん
1973年生まれ。那覇市出身。
首里高校卒業後、東京の専門学校でリトミックを学ぶ。新報カルチャースクール講師、七田チャイルドアカデミー勤務を経て、2005年3月「こども音育ひろば リトモ」を立ち上げる。
「この世から私の仕事がなくなればいいと思っています」と衝撃的な発言をするのは上間咲子さん。
その仕事とは、幼児教育のひとつ「音育(おんいく)」。上間さんが代表を務める「リトモ」では、0歳児から7歳児を対象に、
「リトミック(スイスの音楽教育家のエミール・ジャック・ダルクローズ氏によって創られた音楽と身体運動を素材とした教育)」をベースにしたオリジナルの音育プログラムを提供している。
そんな仕事に対して、上間さんは何故「なくなればいい」と考えているのだろうか。その理由を探るべく、上間さんがこれまで関わってきた仕事について伺った。
「高校の進路相談室でリトミックという文字を見つけたときは、これだ!と思いました。幼稚園でピアノを習いはじめ、中学、高校と吹奏楽部に在籍し、こどものころから楽器は身近でした。
しかも小さい子に接することも大好き。その両方に関れるリトミックは、まさに理想の仕事だったのです」
県外に出ることを反対する両親を説得し、上京した上間さんに不幸が襲う。
上京後わずか1週間でお父さんが倒れてしまい、看病のために休学。半年後にお父さんが他界。
「夢をあきらめなければ」と覚悟したときに、「夢を捨ててはいけない」というお母さんの言葉に励まされ、「絶対に(リトミックを)自分のものにして帰ってくると」固く決意。1年後に復学し、東京で3年間学んだ。
沖縄に戻ってからはリトミックを広めるために、カルチャースクールに売り込むなど積極的な就職活動を展開。
新報カルチャーセンター初のリトミック教室を立ち上げた。リトミックは聞き慣れない珍しい分野にも関わらず、キャンセル待ちが出るほど滑り出しは上々。
順風満帆な日々が3年間続いた。「実はカルチャースクールと併行して1年間だけ幼稚園の先生を務めたことがあります。
毎日こどもと接する幼稚園に対して、カルチャースクールは1週間に約50分。
ただしお母さんとこどもが一緒に過すこともあり、私の進むべき道は、母親ありきだということを確信しました。」
幼児教育について興味を持ちはじめたとき、七田チャイルドアカデミーから声が掛かった。
まわりの人に助けられながら軌道に乗せたカルチャースクールを辞める理由は見つからず、「これまでの人生で一番悩んだ時期」を過すが、まわりから「これもひとつの挑戦」と背中を押され転職した。
「七田チャイルドは、あらゆる側面から幼児教育を行っていたので世界が広がる一方で、いろいろな情報や知識が入ってくるほどに、やりたいことが固まってきました。」
こうして2005年3月に独立。やりたいことを実現するために立ち上げたのが、「こども音育ひろば リトモ」だった。
貯金もなく、方法も分からない上間さんは、商工会議所に飛び込みアドバイスを受け、不動産屋に片っ端から電話を入れ物件を探し、退職後わずか3カ月で「リトモ」をオープンしたのだ。
リトモとはイタリア語でリズムという意味。あえてリトミックという言葉を使わなかったのには、上間さんならではの理念があった。
「音楽だけでなく日常生活にもリズムがあります。親から子へ受け継がれていく大切なリズムを伝えていきたい、
そしておじいちゃん、おばあちゃんから受け継がれたすばらしい家族のきずなを次の世代により良い形にして伝えていきたい。そんな願いを込めてリトモと名付けました」
さらに冒頭の「私の仕事がこの世からなくなればいい」という意味について尋ねると、
「私の仕事は、本来はお母さんやお父さんの仕事。昔はどこの家庭でもやっていた幼児教育なんです。
ただ今は、時代背景や社会的な制度などいろいろな要素が絡んで実現が難しいだけ。いつか原点に戻るときがくれば必要なくなる仕事だと思っています」
現在は音育だけでなく、食育の専門家やものづくりの作家さんたちとのコラボレーションイベントなども企画。
未来に生きるこどもたちが、それぞれの夢の実現に向かって進めるような環境づくりをめざし、ただ前進あるのみだという。
▼上間咲子さんのターニング・ポイント・マップ
【1991年 18歳】
高校の進路相談室で「リトミック」の言葉に出会う
【1992年 18歳】
リトミックを学ぶため東京の専門学校の進学
【1992年 18歳】
お父さんを看病するために休学
【1993年 19歳】
TURNINGPOINT!
復学し、3年間リトミックを学ぶ
【1996年 22歳】
沖縄に戻り、「新報カルチャースクール」にてリトミックの講師となる
【1999年 25歳】
七田チャイルドアカデミーに転職
【2005年 31歳】
「こども音育ひろば リトモ」を立ち上げる
▼上間咲子さんよりメッセージ
やりたいという強い意志があれば、願いは叶います。
私の場合はやりたいと思うことが切れたことがなく、ずっと前を向いて進んできました。
たぶんこれからも何かを追い求めていくのだと思います。
"失敗"という文字を"学び"におきかえて、失敗を恐れずにチャレンジを続けています。
こどもたちが答えを持っているので、注意深く見つめていると、こどもたちは忘れかけていた大切なことを教えてくれます。
私はどんな仕事も一緒だと思います。お客様を見つめる、上司を見つめる、自分にできるベストを尽くす。
そして何かを学んでいく。するときっと昨日の自分とは何かが違うはずです。
お仕事紹介
「こども音育ひろば リトモ」
住所=那覇市銘苅211-1-208
電話=098-866-3630
HP=http://www.ritmonet.jp
リトモは、楽器がうまく弾けるようになる教室とは異なり、音楽を通して、こどもたちの潜在能力を高めるお手伝いをしています。
対象は0歳児から7歳児まで。教室はこどもだけでなくお母さん(お父さん)も一緒に参加し、楽器を叩いたり、音に合わせて踊ったり、歌ったり、音・声・からだを使ったクラスを実施。
こどもたちの創造性、、集中力、反応力、記憶力、判断力、表現力などを高めながら、心の安定を図る幼児教育をすすめています。
また音楽だけに止まらず、こどもたちの才能を引き出すきかっけとなるさまざまなイベントを企画したり、コンクールなどに積極的に参加しています。




