
MIS沖縄 山川朝教さん
1968年生まれ。糸満市出身。
沖縄国際大学英文科卒業後、学習塾でのアルバイトを経て、ペンシルバニア州立インディアナ大学に留学。卒業後、プラクティカルトレーニングビザを取得し一年間コロラド州で就労。帰沖後、MIS沖縄を立ち上げ、ホームページ作成などを行っている。
今、本誌を手にしている人の中には、「やりたいことが分からない。とりあえずアルバイトをしている」という人もいるのではないだろうか。
だが意外にも、そんな“とりあえず”が天職につながっていたという人を、幾度となく取材してきた。
今回の山川朝教さんもそのひとり。とりあえずのアルバイトは、現在の仕事に少なからず影響を与えているという。
子どもの頃から英語が好きで、セサミストリートのテーマソングを口ずさんでいたという山川さん。聞く音楽も西洋音楽が中心で、常に英語に触れていた。いずれは留学したいという夢を持ち、大学は英文科に進んだ。
「英語圏の空気に触れて生活してみたかったんです。長期滞在するためには学生ビザが手っ取り早かっただけで、留学の目的はありませんでした」
留学資金をためるため、塾のアルバイトを始めた。在学中に資金を作ることができず、卒業後もアルバイトを続けた。
しかし運悪く塾が経営不振に陥り、任されていた分校のひとつが閉鎖に追い込まれた。
そのとき、その分校の大家に「何とかここで塾を続けてくれないか」と相談され、先輩や仲間と新たな塾を立ち上げることを思いついた。
「今から新たな仕事を探すのは厳しいと思いました。それよりも教材をはじめ、机や椅子、黒板などの備品も揃っているし、ノウハウもある。ゼロからのスタートではなかったのでチャンスだと思いました」
起業を経験したことで、「自分でも会社が作れるんだ」という自信につながったという。ただいずれ留学するつもりだったので、経営者という立場ではなく、一講師にまわった。
同じ頃、塾と並行して、印刷会社でのアルバイトも始めた。マッキントッシュのオペレーターとしてイラストや写真を扱う仕事だった。
留学準備を着々と進める一方で、留学が近づくと渡航目的も、「どうせ留学するならば、好きなことを学びたい」と欲が出てきた。
こうして選んだのは、コンピュータを使い経営学を学ぶ、ペンシルバニア州立インディアナ大学のマネジメントインフォメーションシステム学科だった。
まだワープロさえ一般化していない中学時代からコンピュータに親しんできた山川さんにとって、コンピュータは身近だった。
留学後は、日本人が少ない学校で英語漬けの毎日。さらに夏休みを返上して夏期講座に出席し、3年で卒業することができた。
卒業後は、大学を卒業した留学生を対象に1年間だけ就労ビザがおりる、プラクティカルトレーニングを利用し、コロラド州の日系企業に就職した。
個人情報を扱う会社だったが、ホームページ作成も担当した。
ビザが切れる頃、会社でビザを取得してくれるという話を持ちかけられ、そのまま就職するつもりだったが、思わぬことでその計画は変更になった。
「アメリカ滞在中、一度もホームシックにかかったことがなかったのですが、デンバー市の沖縄県人会が主催するイベントに参加し、沖縄では気にも止めなかった沖縄の伝統文化に触れたとき突然、涙が出てきたんです。
自分でも驚きました。このとき帰国を決めました」
自分の中に沖縄の血が流れていることを実感した瞬間だった。帰国したときは30歳を越えていた。募集が少ない上、年齢がネックになり就職先はなかなか決まらなかった。
そんなとき、塾のアルバイト時代、起業に携わった自信がよみがえり、自らの会社を立ち上げる決心を固めた。
「いつかは独立したいと思っていたので、早まったと思えば自然のなりゆきだったのかもしれません。今思えば、このとき就職していたら、独立していなかったかもしれません。
というのも自分はじっくり型で、ひとつの会社に長く勤めるタイプだから。これもタイミングだったのかもしれませんね」
アメリカ時代の貯蓄を崩しながら、友人や知人を通じて、ホームページ作成の請け負いと同時に、ウィンドウズ系のホスティングサービスの提供も始めた。
日本では高価と言われていたウィンドウズ系のホスティングサービスを、得意の英語を生かし、海外と代理店契約を結ぶことで、低価格を実現。
ニーズをしっかりと捉え、軌道にのせたのだ。独立するなんて思ってもみなかった20代前半。それが今では、2名のスタッフを雇用する経営者の顔を持つ山川さん。
「制作の立場から仕事を取ってくる営業へと転身する時期にきています。まだ制作したいと思う自分がいるので、本当の経営者になるための切り替えが必要です。
新たなターニングポイントなのかもしれません。気がつけば、アルバイト時代に経験した塾の経営、印刷会社で経験したオペレーション、いずれも今の仕事につながっています。無駄なことって何一つないんですね」
現在の仕事は、アルバイト時代、一生懸命取り組んできた山川さんへの、ご褒美なのかもしれない。
▼山川朝教さんのターニング・ポイント・マップ
【1989年 20歳】
沖縄国際大学英文科入学
【1990年 21歳】
航費用をためるため、塾でアルバイトを始める
【1993年 24歳】
アルバイト先が経営不振に陥り、存続が危ぶまれる
【1993年 24歳】
TURNINGPOINT!
ピンチはチャンスとばかり、仲間に塾経営を呼びかけ、塾を立ち上げ、自信につながる
【1996年 26歳】
ペンシルバニア州立インディアナ大学に留学
【1999年 29歳】
コロラド州の日系企業に就職
【2000年 30歳】
ホームシックにかかり沖縄に戻る。
就職先がなかなか決まらず、落ち込む
【2001年 31歳】
MIS 沖縄を立ち上げる
▼山川朝教さんよりメッセージ
自分のやりたいことが分っていても、実際にやってみると現実とのギャップがあります。
本当に好きなのか、自分に合っているのかは、やらないと見えてこないこともあります。
大切なのは夢で終わらせずに行動に移すこと。転職は自らを成長へと導くポイントだと思います。
会社は「法人」というように、ひとつの人格です。その人格を作るのは、経営者であり働く社員たちです。
会社のために何ができるのか、自分のやりたいことと会社のめざす方向性が一致していなければ、仕事に面白みは感じません。
自分に合う仕事を見つけ、仕事を通して自分を成長させてほしいと思います。
お仕事紹介
「MIS沖縄」
住所=南風原町照屋299-1-101
電話=098-888-1663
企業や個人事業所まで、さまざまなホームページ作成や、ウェブアプリケーションの開発、Microsoft Windowsベースのウェブホスティングサービスなどを行っています。
単なる制作だけでなく更新などきめ細やかなメンテナンスにより、ページビューの高いホームページづくりをめざしています。
また最近では、ホームページ更新が簡単にできるウェブアプリケーションを開発し、それをベースにした不動産業者向けのホームページ作成サービスや、ホームページ運営に関するコンサルティングなども行っています。
今年はホームページ作成のプロを育てる講座を開講する予定です。




