
パトッチャワー 桃原みどりさん
1970年生まれ。南城市(佐敷)出身。
沖縄国際大学英文科卒業後、タイに渡航。帰沖後、県の臨時職員、貿易会社勤務を経て、フリーランスの翻訳・通訳に。現在、タイ雑貨販売、翻訳・通訳を行う「パトッチャワー」を主宰。
玉城でタイ雑貨販売、タイ語と英語の翻訳・通訳、タイ旅行の企画・アドバイザーを行っている「パトッチャワー」の桃原みどりさん。
パトッチャワーとは、タイ語でホテイアオイのこと。金魚鉢などに浮いている、あの草である。浄化作用がある一方で、成長力が旺盛なため増え過ぎると河川や用水路を詰まらせる原因となり、ときには害を及ぼす草として、駆除の対象にもなるという。そんなホテイアオイを会社名にした理由とは…
「かつてタイでは、このホテイアオイが増殖し、害草として駆除されていましたが、タイの王様がなんとか生かせないかと考えたのが、ホテイアオイで作った家具やバックなどの生活雑貨です。タイには何度も足を運び、暮らした経験もあるので、私にとっては特別な国のひとつ。
貧富の差の激しいタイのために、何かお役にたてればと思い、ホテイアオイの雑貨の良さを伝えているところです。沖縄でも龍潭などで見かけるので、新たな産業としての可能性もあると思っています」と将来のビジョンを語る桃原さん。
さらに「ホテイアオイは水に強く、水洗いもでき、保温性にも優れていて、夏は涼しく、冬は暖かい、省エネルギー資源のひとつになる」と話しに力がこもる。
タイに滞在中、教育を受けることができず字の読めない人たちが詐欺に合い、土地を奪われるという現実を目の当たりにしたことから、「平等に教育が受けられるように」と、タイに学校を建設する支援活動も行っている。そんなタイと関わるきっかけは、単純だったという。
「泡盛のルーツがラオロンだ」と聞いたことにはじまる。泡盛が大好きで居ても立ってもいられず、大手企業の就職内定が決まっていたにもかかわらず、大学卒業するとすぐに、タイ社会に飛び込んだ。
大学の教授に紹介された先は、タイ北部・カレン族が住むチェンマイだった。「大学で英語を学んでいたので、世界どこに言っても言葉は通じるだろう、というあさはかな考え、そして旅行資金もほとんどないままで渡航しました。
でも現地に着いて、見事に鼻をへし折られました。言葉は全く通じず、お金はすぐに底をつき、空腹に耐えられず、お寺に飛び込み、身振り手ぶり訴えました(苦笑)」
ガスも水道もない場所で、川で洗濯をし、野菜を育て、火を起し、食事を作る。文字どおり自給自足の暮らしが始まった。
子どもの頃、自給自足をしていたおばぁに育てられたことが幸いし、タイでの暮らしには、違和感なく適応したという。
タイでの日常は、生きていくという基本の繰り返しだった。そんな中で、生きるための原点、そして変化の乏しい毎日の中で楽しむ(コミュニケーションをとる)ことを経験し、言葉では言い表せないほどの美しさを感じたという。
「原点を体験してきたので、コミュニケーション力が鍛えられました。今では、その人が何を考えているのか聞き出せる自信があります。
もしあのとき、チェンマイではなく、英語の通じるバンコクに滞在していたら、心を伝えるインタープリターにはなれていなかったかもしれません」
通訳の仕事では、言葉を直訳するトランスレーターではなく、インタープリターとして、その人に成り変わって言いたいことを伝える、
つまり「心を伝える」ことができる通訳をめざしている。英語に興味を持ったきっかけも、英語が好きなのではなく、教科書に載っている外国人と話がしたい、そのための手段として勉強に力を入れたのだという。
タイから帰国後は、さらに泡盛のルーツをさぐるべく、県立博物館の臨時職員として働き、その後、貿易会社、専門学校の英語講師などを経て、フリーランスの翻訳・通訳に。そしてもっとタイとのかかわりを深めたいと開店したのが「パトッチャワー」だった。
子どもの頃から、“長”とつくものが好きで、部活の部長、生徒会長、そしてサークルのリーダーなどをやってきた桃原さん。
でもそれは、「臆病な性格の裏返しなのかもしれない」という。「やりたい・やらなければ」と思ったことは、直感を信じ、やってから考えるように、自分を突き動かしてきた。
「だから私にまだターニングポイントは訪れていないかも」と笑う桃原さんだった。
▼桃原みどりさんのターニング・ポイント・マップ
【1989年 19歳】
沖縄国際大学英文学科入学
【1993年 23歳】
TURNINGPOINT!
大手企業に就職が内定していたにも関わらず、タイ社会に飛び込む
【1994年 24歳】
意気揚々と飛び込んだにも関わらず、ホームシックにかかる
【1995年 25歳】
カレン族の子どもたちに、タイ語を教える
【1996年 26歳】
帰沖。県立博物館に臨時職員として勤める
【1999年 29歳】
翻訳・通訳事務所「パイディー・マーディー」を構える
【2004年 34歳】
玉城に「パトッチャワー」オープン
▼桃原みどりさんよりメッセージ
今、「やりたい」と思うものが目の前になくても、「やりたいと思う心」を大切にあたためていてほしいと思います。
何故なら、それがエネルギーとなるからです。「やりたいこと」とは、好き嫌いではなく、与えられたことでも、興味を持って取り組めば「やりたいこと」に変わります。
例えば来客にお茶を入れるにしても、面倒臭がらずに、「温度はどうする」「何茶を出そうか」と興味を持つことで、自分の力となります。
やりたいことが分からなくても、与えられることは目の前にたくさんあると思います。それらを手に入れるのか、入れないのかは、選択するのは自由。すべて自分次第なのだと思います。
▼お仕事紹介
「パトッチャワー」
住所=南城市玉城字當山113-3(102)
電話=098-949-1317
パトッチャワーのコンセプトは、「タイと沖縄の癒しの融合空間の提供」。タイ雑貨をはじめ、手づくりのせっけんなどを販売しています。
桃原さんのお母さんキミエさんが作っているのは、南部で取れたクチャ(島尻層群泥岩)や、医者泣かせ草といわれるコヘンルーダー、ヨモギ、アロエなど自家栽培した薬草を材料に8種類のせっけん。
そのほかにも、月桃などを使った、安眠まくらや足踏みマット、タイ産のホテイアオイの家具やバックなどを販売。タイ滞在中に取得した、本格的タイ古式フットマッサージなども受けられ、口コミで評判を聞いたお客さまが増えています。





