オフィスAyu's style代表:森門あゆみ さん(企業内整理収納マネージャー・オフィス環境診断士)

かつて、あることが引き金でパニック障害になってしまった森門さん。現在はすっかり完治し、毎日を楽しく自分らしく過ごされています。治るきっかけとなったのは何と「お片づけ」。さらには人生までも好転させてしまうほどの「お片づけ」の魅力と共に、整理・収納のコツや精神的な向き合い方まで、いろいろ聞いてきちゃいました♪絶対、ためになりますよ!


【1】「整理収納コンサルタント」とはどのようなお仕事ですか?

1つ目は個人向け・ご家庭向けに「整理収納に関するカウンセリングアドバイス」「お片づけサポート」「お引越し前コンサルティング」「間取り相談(新築・リフォーム)」、他にもスクールの運営や講座・セミナーの開催、個別相談等を行っています。「暮らしはすべての土台」をコンセプトに、お片づけをすることでお客様の人生が好転し幸せになるように、その後押しやお手伝いをさせていただいています。

2つ目は法人向け・企業向けに「オフィス環境の診断」「オフィスの5S教育研修」「5S定着コンサルティング」などを行っております。5Sとは、「整理・整頓・清掃・清潔・躾け」の頭文字Sをとったものです。日本で生まれた管理手法で、仕事の質とチームワークを高めることにより企業の収益向上へ繋げていくことがその目的です。


【2】このお仕事を始めることになったいきさつは?

私は28歳の時、弟を突然の事故で亡くしてしまいました。それまでの私は、自分の人生について深く向き合ったことがなく、この出来事はあまりに衝撃的でした。今まで当たり前に存在していた家族がある時を境に急にいなくなってしまう喪失感を味わい、「いつ何が起こるか分からない世の中で、当たり前に存在しているものなんて何も無い。今あるものを大切にしなければ!」と思うようになりました。

そして自分の人生についても見つめ直すようになりましたが、考えれば考えるほど不安な気持ちが強くなるばかり。それが蓄積してとうとうパニック障害になってしまいました。

そんな中、我が家では家を建てる話が持ち上がります。私は主人とモデルハウスをたくさん見てまわりながら理想の家について考える一方で、すでにマイホームを建てられた周囲のお母さん方から、いろいろな経験談や失敗談、そこから得られた教訓などを伺える機会に恵まれました。その中で、「収納はもっと●●な感じにすれば良かった…」などの言葉が多かったことに驚きました。

お母さん方の話を聞いて、私は「絶対に後悔したくない!」と強く思いました。そこで私に何かできることはないかと考えた末、収納についての勉強を始めることにしたのです。なので、「お片づけ」や「収納」を意識するようになったのは、我が家の家づくりがきっかけですね。そして勉強すればするほど、その奥深さに魅了されていきました。

ちょうどこの時期に読んだ近藤麻理恵さんのお片づけの本の影響もかなり大きく、必要なものとそうでないものの見極めなどを考えさせられました。また、なぜパニック障害になってしまったのかについても自然とふり返るようになりました。

「整理収納アドバイザー2級」の資格を取得した頃には自分に自信が持てるようになり、その上の1級合格を目指すことにしました。「もしかしたら、専業主婦の私でも夢を持って人生を送れるかもしれない。」という希望の光が見えたので、一度試験には落ちたものの、「諦めたくない!」という気持ちが勝り再挑戦を決めました。

その過程で心や頭の整理が出来るようになり、次第にスッキリしていく変化を感じました。さらに、試験に合格し念願の1級を手にすることができると、生まれ変わったような気持ちになったのです。とうとうパニック障害を克服することができた私は、「お片づけには人生を変える力がある」ということに気づきました。

「自分の体験から得た教訓は、多くの人たちにお伝えしていかなければならない。これが私の使命だ!」と(勝手に)思い込んで今日に至っています(笑)。


【3】このお仕事のやりがいは、どんな所にありますか?

お仕事をしていて一番嬉しかったのは、お客様から「森門さんに会えて良かった!」というお言葉をいただいた時でしたね。他にもアンケートでは、「生き方を学びました。」という感想をいただいたこともあります。

お片づけを通して、お客様に一歩踏み出す勇気を持っていただけたり背中を後押しすることで、その方の人生が好転するお手伝いをしていることにやりがいを感じます。


【4】お仕事の中で、特に難しいと感じる部分は?

様々なお客様に対し「どのようにしたら、お片づけする第一歩を踏み出していただけるか」を考えることですね。

私は、よくセミナーの講師を依頼されることがあります。セミナー終了後、参加してくださった方から「良い話が聞けて良かった!」「元気をもらいました!」というお言葉をいただくことが多いです。

しかし大切なのは、セミナーでお話したことをお家(あるいは会社)に持ち帰って実践していただくことです。なぜなら、お話を聞いただけでお片づけをした気になられたり満足されては、そこで終わってしまい実際の片づけへと繋がっていかないからです。

なので、単にお話を聞いていただくだけでなく、毎回「宿題」もお出ししています。例えば、セミナー初回なら「貴方は何のために片づけをしますか?」という問いかけをして、目的や理由を次回までに考えてきてくださいね、という感じで。二回目からはいよいよ実践編として、家の顔とも呼ばれる「玄関の片づけ」をしましょう。三回目は「衣類の整理」に取り組んでみてください、というように少しずつ実行に移していただいております。

ここで最も大切なのは、ご自身の力でお片づけを進めていくこと。とにかく、自分で最初の一歩踏み出さないことには始まりませんので。行き詰まったり躊躇されている方がいる場合は、「●●さんは何のためにお片づけをしてるのですか?」と、本来の目的を思い出せるように促しています。


【5】ズバリ! お片づけのコツとは?

「①出す→②分ける→③しまう」、簡単に言うとこれだけです。「日々の暮らしの中で、いつもこれを心がけてください。」と皆さんにお話しています。

上手くいかない方の場合、収納用品から先に買ってしまうのです。しかし収納用品を買う前に、

①出す…まずは家の中の物を出してみる

②分ける…出した物を「使っている物」と「使っていない物」に分ける

③しまう…「使っている物」だけを残して入れ直してみる

(入れ直してみてそれでも足りなかった時に、初めて収納用品を購入)

最初に「出す」ことをせずに、収める場所が無いからといって収納用品を買ってきてしまうと、家の中が収納用品だらけになってしまい、結果、居住スペースがどんどん狭くなっていくのです。

それと、分ける時は「いるorいらない」で分けるのではなく、「使っているor使っていない(あるいは、1年以内に「使ったor使わなかった)」で分けるのが望ましいです。「いるorいらない」で分けてしまうと「使ってはいないけど捨てるのがもったいないからいる!」となってしまいますので。

あと、一つの物について「使っているor使っていない」の判断を下す時間は、3秒以内を心がけてください。それ以上かかる物は「いる」ための言い訳を脳が考えているんだそうです。どうしても迷ったら「保留ボックス」を用意しておいて、とりあえずそこに入れておくようにしましょう(ただし、保留ボックスの中が多くならないようにご注意を!)。



【6】お片づけをするための心構えがありましたら教えてください

正直言うと、元々は私も「お片づけ」や「お掃除」が好きではありませんでした(苦笑)。ですから、同じような方の気持ちはよく分かります。ただ、お片づけの「やる気」は、向こうからはやってきてくれません、いくら待ってもね。なので、とにかく体を動かすことが先決です。一旦やりだしてしまえば、逆に止まらなくなるほどできちゃいますから。しかしここで注意しなければならないのは、一気にやろうとしないこと。頑張り過ぎると疲れてしまうし、長続きもしません。「とりあえず、今日できることだけやってみよう!」と、楽な気持ちで取り組むことです。

あと、「掃除をしやすくするためにお片づけをする」という考え方を持つことは重要です。片づけができていればすぐ掃除に取り掛かれるし、簡単に済みます。「掃除をいかに楽に行うか」を追求していたら、この考えにたどりつきました。


【7】お仕事を通じて、感じたことや学んだことはありますか?

お片づけのゴール(最終目標)は、人それぞれで異なるということを学びました。例えば一つの家庭の中でも、お父さんのゴール、お母さんのゴール、お子さんのゴールは各々で違います。なぜなら価値観が違うからです。なので、実家の片づけをしている最中に起こる親子喧嘩は珍しくありません。

例えば、今は一人暮らしをしている娘さんが実家に帰ってきて、片づけの手伝いをしている時の会話です。

娘「これはもういらないでしょ!」

母「いいえ、これは貴女が小さい頃に使っていたものだから、とっておきます。」

娘「こんなもの、いらないっていっているでしょ!」

母「これは、お母さんにとってはとても大切なものなの!」

お互いの価値観の違いにより、このようなやりとりが生まれてしまいます。この場合、実家に住んでいるのはお母さんですから、お母さんの価値観が優先されるべきです。

また、家の中がきれいに片づいているからといって、そこの住人が必ずしも幸せな毎日をおくっているとは限らないということも知りました。

それは、ある日たいへんきれいな一人暮らしのお家に呼ばれたことがあったのです。住人の方が「私のいけない所はどこですか?」と尋ねられました。私は不思議に思って「こんなにきれいなお部屋なのに、なぜ私を呼んだのですか?」と逆に聞き返してしまいました。この方は完璧を求めすぎるがゆえに、いつも自分の悪い部分にしか目が行かなくなっているようでした。

そうかと思えば、まったく正反対のケースもあります。

このお家は、いろいろなものが程よく散らかっていました。それでも家族は皆、幸せに暮らしています。たまに不便なことがあるかもしれませんが、それを感じさせないくらいに皆笑顔で過ごしているのです。私はそのようなお家にまで「片づけてください!」とは言えないし、言いたくありません。なぜなら、このご家族にとってはこの状態がベストで特に問題が無いのだから。ご家族が片づけを望まないのであれば、私の出番はありません。

つまり大事なのは、住人の方の心が満たされていなければ、どんなに家がきれいでも幸せではないということ。また家族で住んでいるなら、一人の価値観を他の家族に押し付けてはいけません。そこから家庭不和が生まれ、家の中がギクシャクしてしまいます。皆が過ごしやすく幸せに暮らすことを目的としてお片づけをしているのに、「お片づけ」のせいで仲が悪くなってしまったら、それは本末転倒です。


【8】森門さんの今後の方向性をお聞かせください。

前にも少しお話しましたが、やはり「誰かの背中を押せる人、誰かの笑顔を引き出せる人」になりたいです。相手が女性に限らず、すべての人に対してです。そのための手段として、現在は「整理収納コンサルタント」を行っています。

「暮らし」は人生の基盤です。そこをおろそかにしてしまったら、本当の幸せは訪れないと思っています。ですから皆さん、それぞれの暮らしを大切にしながら、ぜひ「お片づけ」を楽しんでくださいね。

そして私は、これからもいろいろなことにチャレンジしていきます!



整理収納コンサルタント オフィスAyu's style

代表:森門 あゆみ さん


【お問い合わせ先】[email protected]

【オフィス所在地】沖縄県豊見城市

【公式HP】https://ayusstyle.okinawa/