最低賃金制度とは、1959年に導入された最低賃金法によって賃金の最低限度を定める制度のことをいいます。

労働者のセーフティーネットの役割としての制度で、

使用者(雇う側)からの不当な賃金での不利益を抑制する目的があり、毎年10月ごろに改定されます。

人を雇い入れる使用者はこの最低賃金額を超える金額で労働者に賃金を払わなければなりません。


最低賃金の種類

最低賃金には「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2つの種類があります。


地域別最低賃金

地域別最低賃金とは各都道府県エリアごとに定められる最低賃金のことです。

労働者の生活にかかる費用(生計費)、労働者の賃金、企業側の賃金支払い能力、

生活保護との整合性など様々な事情を考慮し、最低賃金を決定します。


特定最低賃金

特定最低賃金は特定地域内の特定の産業にのみ適用される最低賃金のことです。

沖縄県では「新聞業」「自動車(新車)小売業」「各種商品小売業」「糖類製造業」「畜産食料品製造業」「清涼飲料、酒類製造業」があります。

基本的に上記の産業は地域別最低賃金よりも高い最低賃金が必要だという観点から設定されたものですが

近年では特定最低賃金よりも地域別最低賃金のほうが高くなっている傾向にあります。

沖縄県では2020年時点で「新聞業」のみが地域別最低賃金を上回っている状態です。

特定最低賃金よりも地域別最低賃金のほうが高い場合は、どちらか高いほうが最低賃金の基準となるため

徐々に制度としてあまり意味を成さないものになってきています。


適用除外

次に掲げる者は特定(産業別)最低賃金から除外され地域別最低賃金が適用されます。

①18歳未満または65歳以上の者

②雇入れ後6月未満の者であって、技能習得中のもの

③清掃、片付けその他これらに準ずる軽易な業務に主として従事する者


最低賃金の減額特例

最低賃金は基本的に全ての労働者に対して適用されるものですが、

都道府県労働局長の許可が得られた場合に限り減額が認められています。

(その場合の額は好きに決めてよいわけではなく厚生労働省令で定める率で減額した額となります。)

認められる事由としては以下のいずれかに該当する者とされています。


1.精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者

単に障害の有無を指すものではなく、その障がいが業務を遂行する上で直接影響を与える場合のみ

2.試用期間中の者(最長6ヶ月以内)

①申請のあった業種または職種の本採用労働者の賃金水準が最低賃金額と同程度であること

②申請のあった業種または職種の本採用労働者に比較して、

試みの使用期間中の労働者の賃金を著しく低額に定める慣行が存在すること

3.基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている人のうち厚生労働省令で定める人

※下記の対象者で職業を転換するために職業訓練を受けるもの以外の者

①普通課程の普通職業訓練

②短期課程(職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させるためのものに限る)の普通職業訓練

③専門課程の高度職業訓練

4.軽易な業務に従事する者

5.その他の厚生労働省令で定める者(断続的労働に従事する者。施行規則3条2項)


最低賃金の対象となる賃金

最低賃金は給与として支払われる総額が対象となるわけではなく、一部の賃金は除外されます。

最低賃金の対象外となる賃金

・割増賃金(時間外割増賃金、休日割増賃金、深夜割増賃金等)

・精皆勤手当

・通勤手当

・家族手当

・賞与

・臨時に支払われる賃金(結婚手当、私傷病手当、加療見舞金、退職金等)

最低賃金額の計算の際は上記の賃金を差し引いた形での計算となります。


沖縄県の最低賃金

沖縄県の最低賃金については弊社コーポレートサイトにて公開しています。

ラジカル沖縄コーポレートサイト