とび職の仕事内容

とび職は建設現場での高所を専門に作業を行う職業のことです。

とび職と飛ばれるようになったのは江戸時代からで古い歴史があります。

江戸時代当時は家屋が家事になった際に消化する方法として家屋を解体し延焼を防ぐ方法が取られていました。

その際家屋の構造を熟知しているとび職は火消し(今で言う消防隊)と協力して消火にあたっていました。

そのため今でもとび職は広く大衆に親しまれ、歌舞伎などの芸能の題材になったり、祭り行事などでも昔からいるとび職が中心となって行われるものが見られます。

現代でもとび職は建設現場での高所での作業を中心に足場の建設や資材の運び込みなど多くの役目を負っています。


とび職の業務分類

足場鳶

足場鳶は建設時に必要な足場を設置するお仕事です。

他の作業員が高所での作業を可能にするために建築現場の周囲に足場を設置します。

足場はただ組めばよいわけではなく、設置方法や配置によって作業のしやすさが大きく変わってきます。

適切な足場を組むことは工期スピードを上げるのにとても重要なことなのです。

また大勢の作業員が乗り降りする足場は安全性も大切で、事故が起きないよう適切に設置する必要があります。

建物が完成した後は足場を解体する作業があり、工期に影響が出ないよう確実かつスピード性が求められます。


鉄骨鳶

鉄骨鳶は建物の骨組みとなる鉄骨を組み立てるお仕事です。

クレーンで鉄骨を吊り上げ高所へ運んだ後に、ボルトなどで固定し組み立てていきます。

このクレーンでの吊り上げ作業も鉄骨鳶の大切なお仕事で、実際に高所で作業する鉄骨鳶との連携が重要になってきます。

釣り上げる鉄骨によって方法や角度調整を行い、現場で作業しやすいように配慮して配置を行わなくてはなりません。

また周囲の建物や作業員にぶつからないよう安全面にも気をつける必要があります。

クレーンに鉄骨をかける際にワイヤーを使用して固定する作業のことを玉掛けといい、この玉掛け作業を行うには資格が必要となります。


重量鳶

重量鳶は建築現場や工場での大型の設備を搬入・搬出・設置を専門にするお仕事です。

大型設備には空調給排水設備や電気設備、貯蔵タンクや工場などで使用する大型機械など数百キロから数十トンにも及ぶ設備があります。

そういう設備をフォークリフトやチェーンブロック、レバーブロック、チルタンク、クレーンなどを用いて目的の場所まで移動させます。

一見すると大雑把な仕事のように思われますが設置する場所もミリ単位での配置が要求されるため、高い技術力と経験値が必要となります。

また撤去も重量鳶の仕事としては難易度が高く、既に建築された壁や柱などにぶつからないように設計図を正確に読み解き、慎重に搬出させる必要があります。

通常の鳶も同様に安全に行うことが大切ですが、重量鳶では事故が起きた場合の被害は比較にならないほど危険で最悪のケースでは死に繋がってしまいます。

そのため高い技術と判断が常に要求され、他の職業では賄えない役目を負っています。


送電鳶

送電鳶は送電線の設置・点検・保守作業を行う専門のお仕事で、「送電線架線工」や「ラインマン」とも呼ばれています。

電気を送るための鉄塔などに登り作業を行うため、送電鳶になるには電気工事士の資格を取得しなければなりません。

電線をクレーンやヘリコプターを用いて鉄塔の上部まで運び、その電線を鉄塔に固定します。

高所に加え高圧電流が流れる場所での作業は慎重かつ丁寧な作業が求められます。

また電線の取付作業だけでなくその後の点検や保守も兼ねており、安全管理としての一面もあります。


橋梁鳶(きょうりょうとび)

橋梁鳶は高架橋・鉄塔・ダムなどの土木工事に携わる鳶のことを指します。

工事規模が大きく、使用する材料も特殊なものが多いのが特徴です。

また現場自体も通常の建築とは異なるため足場の設置などでも経験が必要となり専門性の高い仕事となっています。

建築はもちろん、解体作業や修繕作業なども行います。


とび職のトレードマーク「ニッカポッカ」

とび職といえばスボンが大きく広がった特徴的な作業着を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

あの作業着はニッカポッカといい、高所作業を行うとび職にとって機能的な部分が多いため採用されているようです。

ニッカポッカの特徴

可動域の広さ

ニッカポッカはできるだけ動きやすくなるように設計されています。

そのため股下をゆるくし、肌に接する面積を少なくするために余裕を作っています。


風力を見極める目安に

高所作業を行うとび職が気にしなければいけないのは高い場所からの落下です。

その原因は色々あるのですが、中でも気をつけなければいけないのが風です。

風は高い場所であればあるほど強く吹いており、風の方向も目に見えるわけではありません。

そのため大きく膨らんだニッカポッカに当たる風で方向や強さを感じ取り、落下しないように気をつけることができます。


バランスを取りやすく

ニッカポッカは高所でのバランスを取りやすくするのにも向いているといわれています。

サーカスの綱渡りを想像してみると分かりやすいのですが、綱渡りを行う方が長い棒を横に持って渡っているのを見たことはないでしょうか。

あれは長い棒を持つことでバランスを取りやすくしているのです。

ニッカポッカの広い横幅は同じような役割をしているようです。


怪我の防止

建設現場では色々な機材や障害物が多く存在し、引っ掛けたりすることで怪我をしてしまうリスクがあります。

しかしニッカポッカは肌に触れる面積が少なく、仮に引っ掛けたりしたとしても肌が直接傷つけられるリスクが少ないのも特徴だと言われています。



とび職の働くやりがい

建設現場では「とびに始まり、とびに終わる」という言葉が生まれるほど、とび職は重要な位置づけとなっています。

これは現場で働く色々な作業員の足場の設置や高所での作業など多岐にわたる業務をとび職が担っており、とび職がいなくては建築工事が成り立たないことを表しています。

他の作業員と違い、とび職の仕事は完成時に目に見えるものとして残るものがないですが、現場の安全を担い高所での作業を難なくこなす姿は尊敬を集めています。

だからこそとび職の方々は自分の仕事に誇りを持ち、やりがいを持って仕事をすることができます。


とび職の仕事で役立つ資格・スキル

とび技能士

とび技能士とは国が定める技能検定制度で数ある建設業界の国家資格の一つです。

とび技能士には3級~1級までの階級が存在し、1級が一番上の資格となっています。

そのうちの3級については受験資格が不問となっており、誰でも受験することができます。

しかし、試験内容には実技試験もあるため一定の経験が必要となります。

また1級とび技能士を保有することで、現場の主任技術者として働くことができるため管理職や独立への道を開くことができます。


玉掛作業者

玉掛けとはクレーンで荷物や材料を運ぶ際にはフックにロープやワイヤーで荷物を掛けたり外したりする作業のことをいいます。

この玉掛けは誰でもできるわけではなく玉掛作業者という資格を取得する必要があります。

資格取得には専門の講習を受講する必要がありますが、特に受講条件はなく誰でもチャレンジすることができます。

玉掛作業者の受講区分には玉掛け特別教育と玉掛け技能講習の2種類が存在します。

玉掛け特別教育を受講すれば1t未満のクレーン、玉掛け技能講習を受講すれば1t以上のクレーンへの玉掛けが可能になります。

いずれの講習にも学科・実技があり、必要時間を受講することで資格取得が可能となります。

一見するとシンプルな作業かと思われますが、バランスを崩して落下してしまうのを防ぐ方法や重量によっての道具の使い分けなど様々な判断が必要になります。


建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者

鉄骨など金属を使用し5M以上の建築物を組み立てる、または解体する際には作業方法・安全面の監督・指導を行う主任責任者の配置が義務付けられています。

建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者はこの主任責任者となるために必要な資格で建築業界の国家資格の一つです。

資格取得には指定された講習を受講・試験に合格する必要があります。

受講資格を得るには「同様の現場での実務経験3年以上」「土木又は建築に関する学科を卒業し、2年以上の実務経験」「その他厚生労働大臣が定めるもの」とされており

一定以上の実務経験が必要な資格です。


まとめ

とび職は建設現場では欠かすことのできない大切な職業です。

高所作業を難なくこなすとび職は「現場の華」と呼ばれ建築に必要な様々な作業を行う花形です。

また資格を取得することで現場管理者としてのキャリアアップも可能で、努力次第で活躍の場を広げることが可能です。

興味のある方は挑戦してみてはいかがでしょうか。


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