鍼灸師の仕事内容

鍼灸師は「鍼(はり)」や「灸(きゅう)」を使用して治療を行うお仕事です。

現代医学である西洋医学では科学的・局所的・理論的に分析し治療を行いますが、

鍼灸師は東洋医学に分類され身体の内側から働きかけ、身体の抵抗力を向上させたり、長期的な治療を行います。

鍼灸師は一つの職業として紹介されることが多いですが、正確にははり師ときゅう師という別々の職業です。

両方を治療できる人のことが鍼灸師と呼ばれています。

はり師ときゅう師はそれぞれ資格が存在しており、単独の資格でも治療が可能ですが多くの治療院では両方の治療を行っています。

鍼灸師の具体的な業務内容としては以下があります。


鍼治療

鍼治療では専用の鍼(はり)を使用して治療を行います。

治療用の鍼を身体の経穴(ツボ)に刺し刺激を与えることで身体を活性化させ自然治癒力や免疫機能を高めます。

鍼に微弱な電流を流し刺激を与える方法もあります。

治療用の鍼はとても細く体に刺しても痛みはほとんどありません。

鍼治療は主に緊張状態にある筋肉に対して治療を行い、腰や膝などの関節の痛みや頭痛などに効果があります。


灸治療

灸治療では鍼治療同様に身体の経絡(ツボ)に対して灸を使用して刺激を与え治療を行います。

灸とはもぐさとよばれるよもぎの葉から取れる毛茸・線毛を集めたものをいい、そのもぐさに火をつけることで経絡を温め刺激を与えます。

また皮膚の上に直接もぐさを置く直接灸と、皮膚ともぐさの間に別のものをはさむ間接灸があります。

灸治療は内臓や血流の働きを良くし自律神経失調症などに効果があります。


脈診

脈診とは患者の手首の脈に人差し指、中指、薬指を置き病気や症状を診察することをいいます。

単に脈拍を測るだけではなく、脈の強さや硬さなどを含めて判断します。


望診

望診とは患者の体格・顔色や皮膚の色・ツヤなどを見て診察することをいいます。

脈診と合わせて、患者にどのような問題があるのか、原因の場所の特定などを行います。


鍼灸師になるには

鍼灸師を名乗るためには、はり師ときゅう師の2つの資格を取得する必要があります。

はり師・きゅう師いずれも国家資格となっており、受験資格は以下の養成施設で学ぶことで得ることができます。

・鍼灸大学(4年制)での養成課程の修了

・鍼灸短期大学(3年制)での養成課程の修了

・特別支援学校(理療科)での養成課程の修了

・鍼灸専門学校での養成課程の修了

特別支援学校とは視覚しょう害がある方のための学校です。

また2つの資格は同時に受験することができ、試験項目には共通する科目もあるため実際に同時に受験する方が多いようです。

同時に受験する場合には共通科目は片方のみの受験で良いこととなっています。


鍼灸師の就職先

鍼灸師の就職先には医療だけでなく様々な業界が存在しています。

主な就職先について説明していきたいと思います。


医療関連施設

医療関連施設では、病院・クリニック、鍼灸院・鍼灸整骨院などがあります。

病気や体の不調を訴える患者に対して治療を行います。

病院・クリニックでは整形外科や神経科、リハビリテーション科などで勤務し患者に対して治療を行います。

鍼灸院・鍼灸整骨院などでは地元に密着した運営をしていることが多く、同じ患者に対しての治療が多くなります。

また鍼灸院・鍼灸整骨院などを経験し将来独立する方もいらっしゃいます。


福祉・介護施設

福祉・介護施設では老人ホームやリハビリ施設などがあります。

鍼灸院に自力で通うことができない高齢者の方のために治療を行います。

その他にも在宅サービスとして自宅に訪問し治療を行うサービスを提供している施設などもあります。


美容施設

鍼灸師の治療は健康改善だけでなく、美容にも効果があるとされています。

そのため美容鍼灸サロンやエステサロンなどの就職先も存在します。

血行の促進やむくみの改善、肌の調子を整えたりなどの施術を行います。


トレーニングジム・スポーツトレーナー

トレーニングジムやフィットネスなどのスポーツ施設も鍼灸師の就職先の一つです。

スポーツで痛めた身体の治癒や疲労回復、身体のバランスを整えるなど、スポーツなどを行っている方に対して鍼灸の施術などを行います。

またプロスポーツ選手の専属トレーナーとして働く方もいらっしゃいます。


鍼灸師の仕事で役立つ資格・スキル

あん摩マッサージ指圧師

鍼灸院では鍼灸治療の他にもマッサージなどのサービスを行っている施設もあり、鍼灸師の資格と同時にあん摩マッサージ指圧師の資格を取得しておくと就職に有利に働きます。

また学ぶ科目も共通している部分もあるため同時に3つの資格取得を目指す学校も存在しています。


まとめ

以上鍼灸師の仕事についてでした。

視覚しょう害のある方も活躍できる職業として昔からある、はり師・きゅう師のお仕事ですが近年では晴眼者の資格取得も増えているようです。

東洋医学に通じる鍼灸師のお仕事は治療と同時に身体を活性化させることで予防にもつながるため、高齢者を中心に需要も増えています。

この先もなるなることはない職業の一つかもしれません。


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