理学療法士の仕事内容

理学療法士は主に怪我や病気・加齢などが原因で身体に障害がある方に対して基本動作の回復(いわゆるリハビリ)をサポートするお仕事です。

英語では「Physical Therapist(フィジカルセラピスト)」と表記することから、略して「PT」とも呼ばれています。

基本的な治療方針は医師の指示のもとに患者の身体状況を把握し適切なプログラムを作成します。

主な治療法には運動療法・物理療法の2つが存在します。


運動療法

運動療法では、身体の該当箇所に対し運動による刺激を与えることで機能維持・改善をはかります。

単に患者自身で身体を動かす(能動運動)というわけではなく、患者の状況によっては理学療法士が身体を動かす(他動運動)場合もあります。


関節可動域訓練

関節可動域訓練では身体の関節の可動域を広げるための訓練です。

脳卒中を起こされた方やベッドで寝たきりの患者は長期間身体を動かすことができないため筋肉や靭帯・腱が硬くなり、徐々に関節の可動域が狭くなってしまいます。

そのまま放置してしまうと運動障害などの弊害が大きくなるため、訓練を行うことで改善させていきます。

基本的な方法はマッサージやストレッチなどでの治療を行いますが、患者自身で動かせる場合は能動運動、患者自身では身体を動かせない場合は他動運動によって治療を行います。

またサポートをつければ動かせる場合は自動介助運動を選択肢治療します。


基本動作訓練

基本動作訓練では、人間が行動する上で必要な基本的な動作を訓練します。

具体的には寝返り・起き上がり・ベッドでの移動・車椅子への移動・歩行・座った状態を保つなどがあります。

患者の身体状況によりますが、補助をしながらの訓練から始まり最終的には自分自身で動作ができるようなるまでを目指します。


筋肉増強運動

筋肉増強運動は端的に言えば筋力トレーニングのことで、筋肉に負荷をかけることで筋力の増強を図ります。

負荷をかける方法は様々で、理学療法士が負荷をかけることもあれば、器具を使用して負荷をかける場合もあります。

理学療法士は患者の状態を見極めつつ適切な治療法を選択しトレーニングを行う必要があります。


持久性運動

持久性運動は主に体力が低下している患者に対して有酸素運動を行い体力の向上をはかる訓練です。

この場合も患者の身体状況に合わせたプログラムを組みますが、主な方法としては歩行・ランニング・水泳・自転車などがあります。



協調性改善訓練

患者の中には脳の損傷によって自分自身の身体が思うように動かせない方がいらっしゃいます。

例えば自分が意図するものに触れる・持ち上げるなど特定の場所に手を動かす際に思い通りに動かせなかったり物がつかめないなどの症状があります。

一見すると単純な動作と思われる運動でも様々な筋肉や関節を動かし正しい動きを実現させているため、脳から正しい信号が送られないとうまく動作ができなくなります。

協調性改善訓練では、同じ動作を繰り返し行うことで正常な動きができるように訓練を行います。



物理療法

物理療法では、患者の身体の痛みの軽減や運動の際の動きを改善する目的で行う治療のことです。

身体を温める、刺激を与える、マッサージを行うなどを専用の医療器具・機械を使って治療を行います。

治療によって血液循環の向上・筋肉の緊張緩和・新陳代謝の促進・痛みや痺れの軽減などの効果があり、より動きやすい身体にすることができます。


温熱療法

温熱療法では患部または全身を温める治療方法で、血液循環を良くしたり筋肉の痛みや緊張をほぐします。

暖める方法も様々で赤外線や超音波による治療がありますが、温泉なども同様の効果が期待できます。


電気刺激療法

電気刺激療法では身体に直接電気を流し刺激し治療する方法です。

主に神経や筋肉に作用し、筋肉の収縮の予防やマッサージ効果、血行促進などの効果があります。

近年では筋肉トレーニングの効果も期待され、スポーツ選手のトレーニングにも採用されています。


マッサージ療法

患部を人の手によりマッサージすることで治療を行う方法です。

筋肉の緊張をほぐし、血液循環の向上などに効果があります。

専門の職業としてあん摩マッサージ指圧師などがあります。


牽引療法

牽引療法では専用の器具を使用して脊椎を引っ張り圧迫された神経や固まってしまった筋肉や靭帯を伸ばします。

その他にも背骨のズレの矯正や手足の痺れの治療にも使用されます。


理学療法士になるには

理学療法士になるには国家資格の取得が必要になります。

試験を受けるには受験資格を得ることも必要で、受験資格は養成施設で一般教養科目、専門基礎科目、専門科目、臨床実習を3年以上学ぶ必要があります。

養成施設には4年制大学、3年制短期大学、3年制以上の専門学校、特別支援学校などがあります。

特別支援学校は視覚障害者を対象とした養成施設です。


理学療法士が働く職場

医療施設

医療施設では、病気や怪我の治療後のリハビリを目的とした部署で働きます。

医師やその他の職業の方々と連携し患者の治療を行います。

日常で行う動作を中心に身体機能の向上を目的としてプログラムを組み長期に渡って患者と向き合います。


福祉施設

主な福祉施設としては高齢者が通う老人ホームや通所リハビリテーション施設などがあります。

その他にも身体障がい者療養施設などもあり、日常動作の訓練や運動を通して治療を行い身体機能の回復や予防を目的とした取り組みを行います。


スポーツ施設

スポーツ選手を中心としたリハビリを行う施設でも活躍できます。

スポーツでの怪我などを治療するだけでなく疲労回復や身体機能の向上など、選手がより高いパフォーマンスを上げられるようサポートします。


行政施設

保健所や保険センターでは近隣に済む住民を対象に啓蒙活動や指導を行います。

乳幼児からお年寄りまで幅広い方を対象にサポートを行うことができます。

啓発の一環として企画・運営を行い、地域の方の病気・怪我の予防に貢献することができます。


理学療法士の仕事で役立つ資格・スキル

認定理学療法士・専門理学療法士

認定理学療法士と専門理学療法士は理学療法士としてさらなるスキルを磨くために設けられた資格です。

どちらも数年単位の学習やレポートの提出などが必要なことからそれなりのハードルとなっています。

しかし資格を取得することで理学療法士として上位のスキルが認められるため就職の際には有利に働きます。


まとめ

以上理学療法士についてでした。

誰もが病気や怪我のリスクを抱えていますが、治療を行ったあとに日常生活にすぐに戻れるとは限りません。

日常生活を取り戻すには理学療法士のサポートがとても大切なことがわかります。

また近年ではリハビリだけではなく、身体機能の向上などを含めた需要もあり理学療法士の活躍の場が広がっています。

不便を強いられている患者が徐々に回復に向かっていく様子はおおきなやりがいとなります。

理学療法士の仕事に魅力を感じた方はぜひ挑戦してみてください。


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